高橋順吉(16回生)

テアトル新宿のロードショー初日(4月19日)を狙いましたが、考えは甘く初日、2日目と切符は完売との事でした。私の住まいの柏近くの流山おおたかの森にも映画館が有ると聞いたので調べてみましたところ、流山おおたかの森SCに「TOHOシネマズ」という映写室が10館ある映画館を確認しました。

 電話を入れた結果、4月23日はレディズデイでお客さんは多いでしょうが満席にはならないでしょうという事で、自宅から自転車で向かいました。

 席に少し早めに付きましたが、意外と年配の方が多く、男性も多い気がしました。

 事前に原作とは多少異なると聞いていましたが、一つの小説を映画上映の短時間に収めるには脚本も相当苦労が有ったと思います。

 人物描写が難しいと思っていましたが、綾野剛・池脇千鶴・菅田将暉の演技力が素晴らしかったと感じました。

 原作内の個々の思いは丁寧に表現されていたと思います。

特に菅田将暉の存在感は若い役者の特徴を旨く引き出したなと感じました。

 函館は元々海運と漁師で栄えたので、遊興関係が多い街です。

 芥川賞独特といってもいい明るさの少ない物語ですが、正義と悪ではなく誰でも抱えている重い悩みを丁寧に表現しているなと感じました。

 呉美保監督の思いを出演者の方々がしっかりと受け止めてくれたと思います。

 原作では、千夏の自宅は谷地頭の大森海岸(砂浜)だったと思います。

 函館での映画撮影は、函館の良い映像を残そうとの製作者の思いを強く感じさせられ色々悩んだ様子が解りました。

 千夏の家が七重浜で町内のお祭りが船見町の「山上大神宮」であり、チャチャ登りを自転車で降りる等函館には絵になる景色が沢山有る事を実感しました。

 「山上大神宮」は私の実家から3分の距離にあり、お祭りには子供神輿を含め毎年楽しみにしていました。

 最後の字幕で「佐藤泰志」の名を見て4月5日のイベントに「泰志さんの長女の朝海さん、長男の綱男さん一家が来場」された事を思い出し、不覚にも涙が流れるのを止められませんでした。

今後、芥川賞に負けないようなヒット作品となることを期待しています。

 そこのみにて