井田ゆき子(20回生)

『箱館奉行所始末全5巻』に続く、森真沙子さんの新シリーズが1128日より発売されます。

新作の主人公は、幕末から明治にかけて思想家や政治家として活躍した山岡鉄太郎(鉄舟)。千葉道場で学んだ北辰一刀流の剣豪であり、書や禅の達人としても知られる。しかも、身長62寸(188センチ)、体重28貫(105キロ)の大男。金銭に無頓着で極貧の生活であったことから〝ボロ鉄〟、木剣を持ってさえ一寸欅板を突き抜けるという強烈な突きで〝鬼鉄〟の異名もあったという。

「西郷隆盛が勝海舟に、〝金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬというのは山岡さんの如き人でしょう〟と鉄舟を紹介したのは有名なエピソード。幕末を駆け抜けた日本人の中でもとりわけ魅力的な人物です。

江戸百万人の命を救った江戸城無血開城は、西郷隆盛と勝海舟の会見によって実現されたといわれていますが、実はその前に鉄舟の活躍があってこその会見でした」と森さん。

新作執筆にあたって、当初は幕末に生きた女性を主人公にと考えていたそうだが、山岡鉄舟の妻、英子(ふさこ)と出会って、このふたりを描くことに決めたそうだ。

『箱館奉行所始末』で、知られざる北の奉行所の秘話を発掘した作家が、本作では知る人ぞ知る維新の逸材、山岡鉄舟の生きざまを描く。天衣無縫の剣豪の疾風怒濤の青春物語――。わくわくするほど面白いですよ。ぜひ拝読をお勧めします。

 
  
二見時代小説文庫 定価700

時雨橋さじさい亭